アメリカの教育システムは日本と異なると前にお伝えしましたが、どのように違うのでしょうか?学区とはどのようなものなのでしょうか。今日の目次はこちらです。
- 学区とは?
- 国、州、学区の教育への関わり
- 学区と住民との関係
- 住所ではなく抽選で決まる学区ーサンフランシスコ
- 学区と学校の評価、APIについて
1,学区とは?
学区(School district/スクールディストリクト)は、公立学校を運営している組織で、その規模は2,3校のみの小規模な学区から、20校を超える大規模な学区まで様々です。自治体で学区のありかたは違いますが、その多くは、エレメンタリースクールとミドルスクール(Kー8)を運営する学区と、ハイスクールを運営する学区に分かれています。詳しくは、カリフォルニアの学校制度をご覧ください。
学区は、年間予定(カレンダーといいます)、使用する教科書、カリキュラム、入学、退学に関する決定、校舎、設備の建設、改築などについて決定しています。
2,国、州、学区の教育への関わり
日本では文部科学省が教育基本法を制定し、「教育の実施に関する基本を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、教育振興基本計画を定めることなどについて規定」しています。
つまり、国が中心となって、教育に関する様々な事を決定しています。
それに対してアメリカでは、教育法を定めているのは各州です。州では、義務教育の就学年齢の決定や学習指導要領の作成、州全体の学力テスト実施、および教育に関する最終的な判断などを行っています。しかし、実際の学校運営に関する様々な決定事項については、上記のように学区に任されています。
3,学区と住民との関係
日本では、教育委員会の委員は、議会の承認後に自治体の長(市長など)によって任命されますが、カリフォルニア州では、学区の理事会(School board、Board of trustee)の理事は住民による投票によって選ばれます。そのため、住民の人種構成、職業、収入、学歴、年齢層などによって、学区の方針は影響を受けます。
つまり、学区は住民のニーズに沿った方針を出していかなければなりません。
以前、良い学区の保護者は教育熱心というお話をしましたが、教育レベルの高い学区内の家は資産価値が上がるというメリットがあるため、積極的に教育に関わるという面もあるようです。
4,住所ではなく抽選で決まる学区ーサンフランシスコ
これまで、学区は住所によって決まるとお伝えしてきましたが、例外もあります。サンフランシスコの学区では、入学する学校は住所ではなく抽選によって決められています。詳しくは、スクールディストリクトのウェブサイトをご覧ください。
5,学区と学校の評価について
学区、学校の評価を調べる方法はいくつかありますが、ここではその一部をご紹介します。カリフォルニア州教育省は、公立学校に関する様々なデータを公開しています。学力のデータとしては、学区、学校ごとにAPI(Academic Performance Index 学力指数)を算出して公開しています。APIは、年に一度の学力統一テストなどの成績を元に計算され、200〜1000までの数値で表されます。州では、すべての学校が800を超えることを目標としており、APIの低い学校に対する援助なども行っています。
(追記:2017年3月からAPIは使われておらず、新しい評価法が採用されています。)
ベイエリアの主な学区については、当サイトのこちらのページを御覧ください。
スクールディストリクト情報
すべての学校が高スコアという学区もありますが、様々な学校が混在する学区もあります。その場合は学力の高い学校を選ぶのが良いでしょう。
ただ、同じ学力の学校でも様々な特色・個性があります。スクールディストリクト情報に掲載されている学区のウェブサイトから学校をリストし、Greatschools.org や、カリフォルニア州の学校データなどで生徒数、人種構成(アジア人、白人などの構成、日本語を話す子供の人数など)や学力などを調べることができます。
EL(English Learner、英語を母国語としない児童)のためのプログラム(ELD)の有無などの情報も集め、お子さんにどんな学校があっているのかご家族でよく話し合って決めることが大切です。
弊社でも、ご成約後のお客さまに学校、教育情報をご提供しています。どうぞご利用ください。