こんにちは。前回では日本とアメリカの学校の違いを、生活面について少しだけご紹介しました。今日は、勉強・学業についての違いです。アメリカの学校について、このようなことを聞いたことがありませんか?
- 教科書、学用品がいらない
- 飛び級、留年がある
- クラス替えのリクエストができる
- 夏休みの宿題がない
- 親のボランティアがクラスに入る
1,教科書、学用品がいらない
エレメンタリースクールの低学年の子どもたちが学校に持っていくものはほとんどありません。自分で選んだバックパックに入れるのは、ランチバッグと宿題、連絡用のフォルダーなどです。
教科書とドリル、文房具、ノートといった学用品はクラスで用意されたものを使い、机や自分のロッカーに置いておきます。高学年になると宿題や課題が増えるので、ノートやバインダーなど自分で管理するものが多くなります。ミドルクスール、ハイスクールになると、授業が選択制になるので自分で管理します。
2,飛び級、留年がある
個人の能力、資質が尊重されるため、能力の高い子どもは飛び級ができたり、GATEと呼ばれる専門のプログラムを受けたりすることができますが、社会性の発達なども見ながら学区で慎重に判断されます。一定の学習レベルを満たしていない子どもが、教師の判断でもう一度同じ学年を受けたり、親が子どもの発達をみて入学を遅らせるということはよくあります。
3,クラス替えのリクエストができる
学校にもよりますが、次の学年のクラスが決まる前に、学校にクラスの希望を伝えることができます。この制度の目的は、授業の内容が教師によって違うため、子どもの特性にあったクラスを選べるようにすることです。例えば、うちの子は科学が好きなのでその教科が充実したクラスに入れて欲しいとリクエストできます。しかし学校によっては教師を指名することを禁止しています。反対に、教師に直談判してそのクラスに入れてもらったという話も聞きます。もちろんすべてのリクエストに応えることはできないので、希望が通らないことはよくあります。
4,夏休みの宿題がない
夏休み明けから新年度になるので、宿題はありません。
5,クラスに親のボランティアが入る
以前、住まい選びのポイントは?その2:良い学区の探しかた でもお話しましたが、エレメンタリースクールの場合、親が学校のイベントや授業に参加する機会はとても多いです。特に低学年では、プリントのコピー、ワークブックの答え合わせ、教材の準備、宿題の配布などは親が手伝うクラスが少なくありません。そうすることで、親は子どもの様子が分かりますし、教師とのコミュニケーションもはかれます。あくまでボランティアなので、強制されることはありません。
これは余談ですが、エレメンタリースクール、ミドルスクールにはプール設備がありません。ハイスクールになってから水泳のクラスがありますので、多くの家庭は、子どもに水泳教室に通わせます。
最後に
二回にわたって、日本とアメリカの学校のよくある違いを一部ご紹介しました。
こういった学校が多い、〜することもある、という表現がどうしても多くなってしまうのですが、それはスクールディストリクト(学区)や学校によって内容が変わってしまうからです。
生活面と学業面、どちらにも共通する日米の大きな違いは、教育行政のあり方によるものです。
日本では文部科学省による学習指導要領があり、全国どこにいても同じ教育が受けられますが、アメリカでは地方自治権が強いため、州ごとに指導要領が決められています。(現在、カリフォルニア州ではコモンコア・ステートスタンダードという学習指導要領を採用していますが、それについては別の機会にお伝えします。)学区が地域に合う細かな規約や条例を決め、授業の内容や指導方法は教師に任されています。そういった背景から、州・学区・学校・教師による教育内容の違い・学力水準の差が大きくなっています。
それではカリフォルニア州の教育システムは、具体的にどんなものなのでしょうか?次回は学校制度についてお伝えします。